第1回 竜宮淵の伝説(前篇)
これは、小矢部市宮島に伝わるお話です。 昔々、宮島の奥に「サイが淵」という所がありました。 今日も村人が子どもたちに話をしています。「ここに石を投げたり、悪さをしたらあかん(※1 )ぞ。たたり(※2 )があるからな。」ところが、そのなかに村一番のきかん(※3 )坊がいました。「いかん」と言われたら、なお悪さがしたくなり、サイが淵へ石を投げ入れて家に逃げかえりました。 すると、その晩から急に大雨が降り出し、止むようすがありません。やがて地響きと共にサイが淵のサイのような怪物が、暴れだしました。 ドッドッドッ………… 怪物は、三つの谷の泥水を引き連れて、村の田畑を駈けずり回りました。「大変だ!怪物が暴れだしたぞ!」「みんな逃げろ、逃げろ。」 村人たちは、必死の思いで山手へ逃げました。「あー、おらの家が流されていくぞ!」「刈入れた田んぼの稲も流れていく。」「こわいよーこわいよー。」
−つづく−
※1 あかん・・・だめなこと ※2 たたり・・・してはいけないことをすると後から災い(悪いこと)がおこること ※3 きかん・・・わがまま
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紙芝居『竜宮淵の伝説』 作・ひまわりグループ
紙芝居『竜宮淵の伝説』 作・ひまわりグループ
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