第46回 おおいけのりゅうじょ(1/2話)
江戸時代、金沢の堤町にある小松屋藤右衛門というお金持ちの呉服屋に、色白でかわいらしいお光という娘がおりました。 ある日、お光は急に重い病気になりました。あちこちの医者に診てもらったり、いろいろな薬を飲ませたりしましたが、一向に良くなりません。 そんな時、お光の父は、医王山の大池の水を飲ませると、どんな重い病気も治るという話を聞きます。父はさっそく店の若い者に大池の水を汲みに行かせました。汲んできた水をお光に飲ませ、またこの水で風呂を沸かして入らせました。 「ああ、気持ちのいいお湯だこと、なんだか体が軽くなって、病気が治っていくようだわ」 こうして毎日、風呂に入っているうちに、お光の病気はだんだん良くなっていきました。両親は、それはそれは喜びました。 「お光の病気が大池の水のおかげですっかり良くなった。有難い、有難い」 「さっそく大池までお礼に行かなくては」 するとお光は言いました。 「お父さん、お母さん、私もぜひ大池へ連れていってください」 しかし両親は、 「せっかく治ったというのに、無理をしてはいけない。医王山は、とても険しい山なのですよ」 と言いましたが、お光は、 「大丈夫です。大池の水のおかげでこんなに元気になったのですから。ぜひお礼に行かせてください」 と言いました。 −つづく−
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「ああ、気持ちのいいお湯だこと」
「ああ、気持ちのいいお湯だこと」
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