第46回 おおいけのりゅうじょ(2/2話)
両親は、お光の熱心な頼みにとうとう負けてしまい、医王山へ行かせることにしました。 大池に着いたお光と店の者たちは、池のそばに、たくさんの供え物をしてお参りしました。そのうち、ふと立ち上がったお光が、まっすぐ池の方へ歩いていくではありませんか。 「お嬢様、何をなさいます!早く、お戻りくださいませ。早く!」 一緒にいた店の者たちが、駆け寄って止めようとしましたが、お光は振り向きもせず、池の中に入っていき、やがて池の底深く沈んでしまいました。 店の者たちは急いで金沢へ戻り、お光の両親にありのままを話しました。 両親は驚いて、急いで医王山の大池へ駆けつけ、 「お光、お父さんとお母さんが来たぞー」 「お光、どこにいるのー。帰ってきておくれー」 と泣き叫びました。すると、急に水面がグル、グル、グル、グル、と渦巻き、お光の声が聞こえました。 「お父さん、お母さん、お光です。不思議なわけがあって、娘として育てていただきましたが、私は実は竜の娘だったのです。ふるさとの竜宮が恋しくて病気になり、とうとう大池に戻ってきたのです。これで二度とお会いできませんが、お元気でいてください。長い間、私をかわいがってくださって有難うございました。さようならー」 竜になったお光は、池の底に姿を消して見えなくなってしまいました。 それ以来、不思議なことに、大池の中に岩が浮きあがり、その岩は『お光の岩』と言われるようになったということです。 ―おしまい―
※このお話は、福光地域公立保育園の保育士が制作した紙芝居より、一部加筆・修正の上、掲載しました。
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「長い間、私をかわいがってくださって有難うございました」
「長い間、私をかわいがってくださって有難うございました」
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