第51回 とーんびとんび まいまいしょ(2/2話)
やがて勘七は、眩しいばかりに光輝く一体の仏様を抱えて、やっとのことで浮かび上がってきました。仏様の顔はとても穏やかで優しく、見ているだけで心が安まるようでした。 村のお宮さんに祀られた仏様は、後に建立された専勝寺(せんしょうじ)に移され、村人たちに大切にされてきました。 それから250年経った頃(江戸時代の初め)、本敬寺(ほんきょうじ)の専順(せんじゅん)という住職の夢に仏様が現れ、こう告げられたのです。 「あなたとは一度も会ったことはないが、不思議な縁で結ばれている。今、河合村の専勝寺にいるから、急いで迎えに来てほしい」 専順は受慶(じゅけい)というお坊さんにお願いして、この夢のことを専勝寺に伝えてもらいました。すると、不思議なことに専勝寺の住職も仏様の夢を見たと言うのです。 「明日、私を越中の本敬寺に移してほしい」 二人は驚きましたが、お告げ通り、仏様を本敬寺に移すことにしました。 こうして本敬寺に安置されることになった仏様を、祖谷の村人たちは大切に守り続けてきました。そのおかげで、この村には悪いことが起こらず、村人たちはずっと幸せに暮らしました。 毎年6月22日にはこの仏様の法要があり、人の願いを叶えてくださる仏様として、遠くからお参りに来る人もいるそうです。 −おしまい−
※このお話は、福光地域公立保育園の保育士たちが制作した紙芝居より、一部加筆・修正の上、掲載しました。
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夢に仏様が現れました。
夢に仏様が現れました。
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