第67回 きつねの嫁入り(2/2話)
小半時(※)ほど経った頃、雨は小降りになり、雲の合間からはお日さまが顔を覗かせ、あたりは少しずつ明るさを取り戻しました。 「はて、さっきの二人はどうなったかな。この雨で着物もさぞかし濡れたろうな」と、向こう岸の土手を眺めました。しかし、まだ向こう岸は雨が強いようでした。ところが不思議なことに、提灯の灯かりのような物が、ぼんやりと浮かんで見えました。そのうちに灯かりがどんどん増えてゆき、川下の方から川上へと列をなして進んでいくではありませんか。 村人は、夢を見ているのではなかろうかと、ほっぺたをつねりました。 「痛い!これは夢じゃないぞ」 そのうちに雨が上がり、提灯行列はすっかり見えなくなっていました。 「あれはきっと、狐の嫁入りやったがやなあー」と村人は思いました。 今でも、お日様が出ているのに雨が降っていると、「今日は狐の嫁入りや」と言いますね。
―おしまい―
※小半時・・・約三十分
このお話は、小矢部市郷土愛護セミナー「ひまわりグループ」が手掛けた『ふるさとの民話〜小矢部〜』より、一部加筆・修正のうえ、掲載しました。
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「痛い!これは夢じゃないぞ」
「痛い!これは夢じゃないぞ」
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