第71回 ふくみつうさはちまんぐう(1/2話)
福光の宇佐八幡宮にあった不思議な黒い石のお話です。 今から千二百年ほど前、大伴家持の子どもで持豊というお殿様が、福光に城を作って住んでいました。その頃、身体中にぶつぶつが出て高熱の出る病気「天然痘」が、国中で流行っていました。そして毎日「苦しい」といって、沢山の人が死んでいきました。持豊の子どもの持定も、天然痘にかかって苦しんでいます。 お殿様はどんなことをしてでも持定の病気を治したいと思い、高い薬を買ったり、よいお医者さんに診てもらったりしましたが治りません。 お殿様は、城の近くに祀ってある神様の石と言い伝えられる黒い石に、 「神様、お願いします。どうか持定、そして町のみんなの病気を治してください」 奥さんや家来と一緒に、夜も寝ずに一生懸命お祈りしました。 するとある朝、空から声が聞こえてきました。 「私は宇佐の大神である。あなたはいつも町のみんなの幸せを考えて治めているのを知っている。子どもの持定や沢山の病人が天然痘で苦しんでいるが、私が治してあげよう」 みんなが不思議に思って空を見上げると、不思議なことに金色の鳩が数羽飛んできて、お宮さんの上をゆっくりと飛び回りました。 すると、熱で苦しんでいた持定の病気が治りました。町の人たちもすっかり元気な身体になりました。 殿様は大変喜んで、新しくお宮さんを建てて黒い石をお祀りしました。 −つづく−
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「私が治してあげよう」
「私が治してあげよう」
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