第73回 巴塚と一本松(2/2話)
倶利伽羅谷の合戦は、巴御前や石黒光弘らの活躍で義仲軍が勝ちました。義仲軍はそのまま京の都へ進み、京の都をも自分のものにしようとしました。しかし都に着いた義仲軍は物を盗んだり、家を壊したりと悪いことをするようになりました。これを知った後白河天皇は、源頼朝に「義仲を討て」と命令し、一一八四年、義仲は源頼朝に敗れてしまいました。 義仲が死ぬと、敵が巴御前を捕まえようと追いかけてきました。信濃の山奥まで逃げましたがとうとう見つかり、敵の大将・源頼朝の元へ連れていかれました。 「お前は今日より、和田義盛の嫁になれ」 無理やり二度目の結婚をさせられた巴御前に、翌年、義秀という男の子が生まれました。巴御前に弓矢や剣の振り方を厳しく教えてもらい、立派に成長しました。しかし義秀は合戦に破れて死んでしまい、巴御前は体も痩せるほど泣いてばかりいました。 「大切な人たちは合戦で死んでしまった。尼になって、みんなが仏様になれるようお祈りをしよう」 こうして石黒光弘を頼って福光へ来た巴御前は、尼さんになってひっそりと暮らし、九十一歳で亡くなりました。 一本松の木の下に三個の黒い石があります。石黒郷と広瀬郷の境を示し、もう一個の烏帽子石は小矢部川より巴御前が袖に入れて運んだと伝えられています。 この石に祈ると力強く優れた女(ひと)になれるということです。 ―おしまい―
●このお話は、福光地区公立保育園が制作した紙芝居より、一部加筆・修正のうえ、掲載しました。
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「みんなが仏様になれるようお祈りしよう」
「みんなが仏様になれるようお祈りしよう」
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