第79回 地蔵様を助けた男(2/2話)
男が途方に暮れていると、お地蔵様が突然喋り出しました。 「村の人、有難う。本当に助かりました。ここで結構ですから、どうぞ早くお家へお帰りください」 男はびっくりして、ふと着物に手をやると、なんとびしょ濡れだった着物が嘘のように乾いているではありませんか。しかしお地蔵様は、何もなかったかのように土手の上にじっと座ったままでおられました。 「これは、ただのお地蔵様ではないぞ。もったいない、もったいない」 男はそう言いながら、手を合わせて深く頭を下げると、家へと急ぎました。家に帰った男は家族にこの不思議な話をしました。 その後、この話は村中に広がり、村人たちは高木の六地蔵様の隣に早速立派なお堂を造り、お地蔵様を丁寧にお祀りしました。 「この川の上流は信心深い人が多く、そこに祀られてあったお地蔵様が流れてきたのではないか」 これが高木の一体地蔵様で、「四谷川地蔵様」とも言われています。今も六体地蔵様の隣に鎮座され、人々をあたたかく見守っておられます。 −おしまい−
●このお話は、小矢部市郷土愛護セミナー「ひまわりグループ」が手掛けた『ふるさとの民話〜小矢部〜』より、一部加筆・修正の上、掲載しました。
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人々をあたたかく見守っておられます。
人々をあたたかく見守っておられます。
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