第82回 天狗のおはなし(1/2話)
むかしむかし、宮島の山にとっても気の良い天狗が住んでいました。 顔が真っ赤で鼻が高く、目はギョロリとした天狗は、魔法のうちわを持っていました。 「このうちわで遊んでみるか。鼻よ、高くなーあれ」 うちわを扇いだら、あれあれあれ、天狗の鼻はみるみるうちに天まで伸びていきました。 「あいたたた。やっぱり低いほうがいいな」 再びうちわを扇ぐと、鼻は元通りになりました。 「今度は子どもになって、村へいってみよう。子どもになーあれ」 天狗はうちわを扇ぐと、今度はかわいい男の子になりました。 子どもになった天狗は夜になると、「火の用心、火の用心」と太鼓をたたきながら村を歩き周りました。村人たちはその音を聞いて、火事にならないように気を付けました。 次の日、畑の方に行くと、のんき者の与太郎たちが畑の中へこっそり入り込み、すいかを食べていました。子どもに化けた天狗は「おらもまぜて」と言って、与太郎たちと一緒になってすいかをおいしそうに食べました。そして、与太郎と天狗はすっかり仲良しになりました。 −つづく−
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「やっぱり鼻は低いほうがいいな」
「やっぱり鼻は低いほうがいいな」
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