第82回 天狗のおはなし(2/2話)
ある日、与太郎がのんきに歩いているのを見つけた天狗は遊びに誘いました。
「おーい、与太郎。今日はおもしろい所へ連れていってやろう」
「うん、連れてって」
与太郎が一つ返事で答えるやいなや、天狗は与太郎を脇に抱えて空へ向かって飛び上がりました。くるくると空を舞い、初めは怖かったのですが、そうっと目を開けると眺めが良いのでだんだん楽しくなってきました。
次に天狗は、与太郎を賑やかな町へ連れて行きました。
「さあ、団子でも食べや」
天狗と与太郎はおいしい団子を食べました。天狗はさらにどんどん飛び上がり、もっともっと高い山に降りました。
「さあ、ここでお参りしよう」
二人は高い山から村に向かって手を合わせました。
最後に天狗は急降下して山を下り、与太郎を村のお宮さんに連れて行きました。
「さあ、早く帰れ。みんな心配しとるぞ」
そうして家に返してくれました。
その頃、村では与太郎が急にいなくなったので、みんなで村中を探し回っていました。そこへ無事帰って来た与太郎を見つけて一安心。与太郎は村の人たちに「天狗さんにいろんな所へ連れてってもらった」と話しました。
それを聞いた村の人たちは、「天狗さんに誘われてもついていかれんぞ」と子どもたちに言い聞かせたというお話でした。
−おしまい−
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「天狗さんに誘われても、ついて行かれんぞ」
「天狗さんに誘われても、ついて行かれんぞ」
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