第9回 まいこん淵に流れ着かれた御神体(後篇)
外は大雨で道がどこか分からないほどになっておった。やっとのことでまいこん淵に辿り着くと、案の定(※3 )何か大きな物が引っかかっとった。「これが、もしかして先ほど夢枕に立たれた神様じゃないかな」と思い、恐る恐る近づいて見た。「おー。これは、まさしく御神体じゃ」と大切に抱えて家に帰った。 早速村人を集め、みんなの意見を聞いた。「これは御神体に間違いない」「そうやなあ。この川上にお宮さんがあるから、そこから流れて来なさったんじゃろ」と、村人は言った。村長さんは、「そうかもしれんけど、わしらの在所(※4 )に流れ着かれたのじゃ。わしらの村に留まられ(※5 )たいのじゃろ。そこでじゃ、みんなで銭出し合うて、お宮さん、建てたらよいと思うがの…」。「それがよい」「それがよい」ということになり『水野社』というお社が建てられた。 その後、このお社は隣在所の宇治新(うじしん)のお宮さんと一緒になり、西荒川(にしあらかわ)神社となった。 この神社の神様は水にちなんだ(※6 )神様であるため、「村祭りにはよく雨が降る」と言われています。田畑に雨が欲しい時、この神社にお参りすれば必ず「ご利益(りやく ※7 )がある」と言われている。
−おしまい−
※3案の定・・・おもった通り ※4在所・・・村の地域 ※5留まる・・・動かない ※6ちなんだ・・・ゆかりで ※7ご利益(りやく)・・・得する、いい事がある
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イラスト 作・ひまわりグループ
イラスト 作・ひまわりグループ
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