第88回 まいこん淵に流れ着かれた御神体(2/2話)
「これが、もしかして先ほど夢枕に立たれた神様じゃないかな」 村長はそう思い、恐る恐る近づいて見ました。 「これはまさしく御神体じゃ」 村長は御神体を淵から拾い上げ、大切に抱えて家に帰りました。そして早速村人を集め、意見を聞きました。 「これは御神体にまちがいない」 「そうやなあ。この川上にお宮さんがあるから、そこから流れて来なさったんじゃろ」 村長は、村人に言いました。 「そうかもしれんけど、わしらの在所に流れ着かれたのじゃ。わしらの村に留まられたいのじゃろう。そこでじゃ。みんなで銭出し合うて、お宮さんを建てたらよいと思うがの」 村人も賛同し、ここに『水野社』という社が建てられました。その後、このお社は隣在所の宇治新のお宮さんと一緒になり、西荒川神社となりました。 この神社の神様は水にゆかりのある神様なので、「村祭りにはよく雨が降る」と言われています。田畑に雨が欲しい時にこの神社へお参りすれば、必ずご利益があると言われています。 −おしまい−
※ばんどり・・・藁や菅などを編んで作った雨具
●このお話は、小矢部市郷土愛護セミナー「ひまわりグループ」が手掛けた『ふるさとの民話〜小矢部〜』より、一部加筆・修正の上、掲載しました。
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「先ほど夢枕に立たれた神様じゃないかな」
「先ほど夢枕に立たれた神様じゃないかな」
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