第89回 立野脇の女石と男石(1/2話)

福光温泉より刀利(とうり)ダムの方へしばらく行った所に、立野脇(たてのわき)という村があります。そこにある八幡社(はちまんしゃ)の境内には、不思議な形をした「女石」と「男石」と呼ばれる石が神様として祀ってあります。 今から八百年以上も前、平家の大将・平清盛と、源氏の大将・源義朝が戦いをして、源氏が負けた時のことです。源氏の武士たちは敵に見つからないように立野脇まで逃げてきました。 「ここは山奥だし、誰も来ないだろう」、「ここで暮らすことにしよう」 「木を切って田んぼや畑を作ろう」 こうしてみんなは、敵に見つからずに仲良く暮らしていました。 何年か経つと、 「おらの家に赤ちゃんが生まれたぞ。元気な男の子じゃ」、「わしの家にも」 「おらの家にもじゃ。また男の赤ちゃんじゃ」 しかし、女の赤ちゃんはさっぱり生まれません。そこで村じゅうの者が集まって、どうしたらよいか相談しました。 「明日、八幡社の神様にお参りして、どうすればよいのか聞いてみようじゃないか」 「どうか、女の子が生まれますように」 八幡社の神様にみんなでお参りしていると、お宮さんの中から神様の声が聞こえてきました。 「村人よ。この村を流れる小矢部川に、女の形をした大きな石がある。これが女の神様の石じゃ。これを八幡社に持ってきてお参りするのじゃ。必ず女の子がたくさん生まれるであろう」 「有難いお告げじゃ。さっそく探しに行こう」 −つづく−
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「また男の赤ちゃんじゃ」
「また男の赤ちゃんじゃ」
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