第92回 おさるの顔はなぜ赤い(1/2話)
むかしむかしのお話です。 越中と加賀の境にある峠に、三匹のいたずら好きな猿が住んでいました。 「キャッ、キャッ、キャッ。何かおもしろいことないかな」 「木の上で昼寝でもするか」 「そんなもん面白ない。みんなで何かいたずらでもしようや」 猿たちが話をしていると、荷を背負った男がやってきました。 「あーあ、くたびれた。この峠でちょっと昼寝でもしよう」 男はそう言って、そこに寝転んでしまいました。すると、様子を伺っていた三匹のいたずら好きな猿が出てきて、男のむしろ(※)を盗っていってしまいました。 今度は栗を背負った男がやってきました。疲れていた男は、その場で寝転んでしまいました。するとまた三匹の猿が出てきて、こっそりと籠の中にあった栗を食べてしまいました。 さらには杵と臼を積んだ荷車を曳いた男がやってきましたが、やっぱりくたびれて寝転んでしまいました。そしてまたもや三匹の猿が出てきて、荷車ごと盗っていってしまいました。 どれだけか時が経ち、三人の男たちが気持ちの良い眠りから覚めました。そして三人は自分たちの持ち物がないことに気付きました。 −つづく−
※むしろ・・・わらや竹で編んだ敷物
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「この峠でちょっと昼寝でもしよう」
「この峠でちょっと昼寝でもしよう」
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