第94回 つりがねどい(2/2話)
太朗佐とお母さんは何度も井戸を掃除しましたが、どんどん湧いてくるばかりでした。 困った太朗佐は、神主様に相談に行きました。 「神主様、今まで綺麗な井戸やったのに、急にうじ虫が湧いてご馳走も作れんし、洗濯もできんで困っておるがです。助けてください」 「それは大変じゃ。不思議なこともあるもんだ。さっそく神様に聞いてみよう」 神主様は神様の前で一生懸命お祈りをしました。すると、 「太朗佐、大事なあの大きな石を動かしたから、うじ虫が湧いたのじゃと神様からお告げがあったぞ」 「そういえば、おらの畑の真ん中に大きな石があって、邪魔で仕方がなかったから、隅の方に動かしたわ」 「それを元に戻すんじゃ」 太朗佐は、早速畑に行って石を元の場所に戻し、手を合わせました。 「昔の寺の跡にあった石を、勝手に動かしたのがあかんかったがやな。水が綺麗になりますように」 すると、うじ虫はパッと消え、井戸は元通りの綺麗な水になりました。 それからは、太朗佐とお母さんは、井戸の水を大事に使ったということです。 −おしまい−
このお話は、福光地域公立保育園が制作した紙芝居より、一部加筆・修正の上、掲載しました。
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「邪魔で仕方なかったから、隅の方に動かしたわ」
「邪魔で仕方なかったから、隅の方に動かしたわ」
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