第95回 光圓寺をひらいた明賢さま(1/2話)
これは砺波市久泉にある光圓寺(こうえんじ)に伝わるお話です。 昔むかし、別所(べっしょ)という隠れ里に、新七郎という侍の大将が住んでいました。新七郎は多くの仲間を戦で亡くし、悶々とした日々を送っていました。 座禅をして色々考えましたが、もやもやする気持ちは一向に晴れることがありませんでした。 そんな気持ちをなんとか整理したいと考えた新七郎は、ある日五箇山にいらっしゃる赤尾の道宗様を訪ねることにしました。 「一日のはじめは、毎朝仏壇にまいり、一ヶ月に一度は井波のお寺にまいり、一年に一度はご本山にまいる」 道宗様といえば、いつもこのようなことを実践されている立派な方です。 新七郎の悶々とした悩みを聞いた道宗様は、こう言われました。 「私もあなたと同じ気持ちなのです。蓮如上人がおられる吉崎御坊へ一緒に行きませんか」 早速二人は蓮如上人に会うべく、吉崎御坊に出掛けていきました。そして蓮如上人に会うことができました。 この当時、蓮如上人は色々な所に出掛けて、親鸞聖人の教えを広めていらっしゃいました。 男と女、そのほかの色々な差を無くして「お浄土に往生できる」という蓮如上人のお言葉を聞いた新七郎は、心の中のもやもやしたものがいっぺんに吹き払われるように感じました。また、蓮如上人のお姿が、まばゆく光り輝いているようにも見えました。そして涙がとめどなくあふれてきました。 −つづく−
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現在の光圓寺
現在の光圓寺
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