第99回 桐の木の御神体(2/2話)

「こりゃ、桐の木や。傷ついてる所に、なんやら血が流れたような跡があるぞ」 「もしかして、川上から流れてきた御神体じゃないかな」 「このままここに置いといたらバチが当たるわ。祠を建てて祀ろまいか」 こうして桐の木を祀る祠が建てられました。すると、この村では川が氾濫することが少なくなり、米が沢山獲れるようになりました。 ところがお祀りした御神体が桐の木だったためか、不可解なことが起きました。村人が桐の下駄を履いて歩くと、必ずといっていいほどつまずいて、足の骨を折るようなケガをするのです。 「わしらの村で神様にしとるもんを足で踏んでいるからバチ当たったがや」 「今からでも遅くはないだろう。もっと御神体を大事にせんなんなあ。そのためにも桐で下駄を作るのは、ちょっと考えものだなあ」 この不思議な出来事があって以来、村では桐の下駄を慎むようになったということです。 この祠が鷲尾神社の起こりで、この神社には三体の神様をお祀りしてあります。その一体が、この桐の木の御神体であると言い伝えられています。 ―おしまい―
このお話は、小矢部市郷土愛護セミナー「ひまわりグループ」が手掛けた『ふるさとの民話〜小矢部〜』より、一部加筆・修正の上、掲載しました。
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「もっと、御神体を大事にせんなんなぁ」
「もっと、御神体を大事にせんなんなぁ」
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