第101回 ねずみ松のふしぎ(1/2話)
これは小矢部市の宮島に伝わるお話です。 宮島の久利須村に、村人たちが心の拠り所としているお宮さんがありました。このお 宮さんの前あたりから道は急な登りになり、やがて大人でも息が切れるほどの曲がりく ねった坂道になります。この坂を登り切ると、加賀・越中の平野が一望できる小高い丘に出ます。地元の人は、そこを「いも嶺」と呼んでいます。 その昔、そこには沢山の赤松が、風雨にさらされながらも力強く立っていました。そ の中に、とりわけ目立って大きい松の木がありました。近付いてよく見てみると、その 根はまるでねずみの手足のように広がっているので、村人たちは「ねずみ松」と呼んでいました。 ある日のこと、村に住む弥作じいさんが、いつものように山で炭焼きの仕事をして いました。 「今日もよう働いたな。さあ、遅くならないうちに帰ろ」 弥作はできあがった炭を俵に詰めて、それを担いで山から下りてきました。 ちょうど「いも嶺」にさしかかった時です。あたりは夕闇のせいで、少し薄暗くなっていました。 「おや、前の方に誰か歩いとるぞ。村の庄次郎じいさんじゃないかなあ」 −つづく−
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「おーい、庄太郎じいさん」
「おーい、庄太郎じいさん」
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