第101回 ねずみ松のふしぎ(2/2話)
弥作は、「おーい、庄次郎じいさん」と大きな声で呼びました。 ところがそのじいさんは、後ろをちらっと振り返りましたが、一言もしゃべらずに足を速めました。 「おかしいなー。たしかに庄次郎じいさんや」 弥作はもう一度、「庄次郎じいさん」と叫びながら後を追いかけました。 しかし追いつくどころか、じいさんらしき姿は大きな松の木あたりで、霧のようなも のになって消えてしまいました。 「あれ、おらんようになった。おかしいな。足跡がこの松の根元で消えとる」 弥作は狐につままれたような気持ちになりました。慌てて村に帰った弥作は、村人にこの松の話をしました。 「ねずみが、人間に化けたに違いない」 話を聞いた人たちはそれ以後、ねずみ松のある「いも嶺」には夜遅く通らないようになりました。 現在はその大きな松の木はありません。しかしねずみ松のような太い根が少し残って おり、面影を留めていると伝えられています。 ―おしまい―
●このお話は、小矢部市郷土愛護セミナー「ひまわりグループ」が手掛けた『ふるさとの民話〜小矢部〜』より、一部加筆・修正の上、掲載しました。
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村に帰った弥作は、村人にこの松の話をしました。
村に帰った弥作は、村人にこの松の話をしました。
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