第103回.おらが村蟹谷(1/2話)
これは小矢部市蟹谷地区に伝わるお話です。 むかしむかし、加賀と越中の国境にある小さな村で、不気味なできごとが相次いで起 こりました。村の畑が荒らされたり、次々と村の衆が行方知れずになったりしました。 ある日、村の若い衆二人が山の奥にある溜め池の側を通り掛かった時のことです。なにやら変な音がしたかと思うと突然、「待て!」という声が聞こえ、化け物が現れました。 「な、なんじゃお前は」 「小さな足が八本、大きな足が二本、両方の目は天に向かって突き出ているのじゃ。わしの正体は何じゃ。答えてみろ」 化け物はそう叫びました。若い衆はびくびくしながら言い返しました。「なに!そんなもん知らんわい。お前は化け物じゃ」 「わしの正体が分からないなら、お前を取って喰うぞ」 化け物がそう言うと、 「ウオー、ウオー、ガブガブガブ、ムシャムシャムシャ」 たちまち若い衆を呑みこんでしまいました。残されたもうひとりの若い衆は、村の人たちを呼びに、村へ逃げ帰りました。 「今までに何人もの人が殺されたのは、あの化け物の仕業に違いない。みんなで敵討ちじゃ」 村の人たちは、手に手に松明や鎌などを持って集まりました。 −つづく−
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「みんなで敵討ちじゃ」
「みんなで敵討ちじゃ」
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