第104回.大杉と天狗(2/2話)
女の子は、餅を食べたり甘酒を飲んだりして、一緒に寝てしまったことを言いました。 男の子がいなくなったので、みんなで村中を捜し周りました。すると大きな木の下に、ポカーンと立っている男の子を見つけました。 「暗ーてよう見えんけど、確かにぼんや、ぼんや」 みんなで「ぼん、ぼん」と呼んでみましたが、男の子は返事をしません。慌てたお母さんが、男の子をぎゅっと抱きしめると、我に返ったのか泣き出してしまいました。 お父さんとお母さんは男の子を家に連れて帰り、いろいろと尋ねてみました。しかし男の子は泣いてばかりいて、埒が明かない様子でした。傍にいた村人たちは、その様子を見て「天狗様のお呼びにあったんじゃ」と口々に言いました。 「あの大杉に天狗様が住んでござらっしゃるのは、ほんまの話や。かたいもん(※2)になっとらんにゃ、捕まえていかっしゃるぞ」 それからというもの、こんな話が口から口へ広がり、子どもたちの戒めにしたそうです。 ― おしまい―
※2 かたいもん・・・いい子 ●このお話は、小矢部市郷土愛護セミナー「ひまわりグループ」が手掛けた『ふるさとの民話〜小矢部〜』より、一部加筆・修正の上、掲載しました。
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「天狗様のお呼びにあったんじゃ」
「天狗様のお呼びにあったんじゃ」
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