第12回 おさるの顔はなぜ赤い(後篇)
どれだけか時が経って、三人の男たちが気持ちのよいねむりからさめました。そして三人は自分たちの持ち物がないことに気付きました。 気のいい三人の男たちは「ここは峠やさかい、寝とる間に越中の坂へ転がっていったがや」と言って、「それなら暗くならないうちに越中に下りて行こう」と峠を下って行きました。 さて、山の上ではさるたちが、お月様が出るのを待って男たちから奪った道具で餅つきを始めました。 できた餅を我先に食べようと、三匹のさるたちは一度にうすの中に頭をつっこみました。そして、けんかになり、うすと一緒にゴロゴロと坂を転がり出しました。餅を顔にくっつけたまま転がり落ちていったさるたちは「あちちちち、目がまわる」「もうだめだ。餅がとれないよ」「もういたずらしませんから、助けてください」と泣き叫びながら言うと、いつの間にかくっついていた餅は顔から取れました。さるは顔に大やけどをしました。 それからさるの顔がこんなに赤くなったそうです。
―おしまい―
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イラスト 作・ひまわりグループ
イラスト 作・ひまわりグループ
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