第○回 ねつおくりまつり (2/3話)
「長いこと雨が降りつづいたからですかいね」「悪魔が稲にのりうつったがですかいね」「よわったな、おそろしいことになったもんじゃ。どうすりゃ良いもんじゃろうか」「このままじゃ荒木の村人は生きてはいけぬ」「どうじゃ、村の衆。殿様にたずねてくることにするか」 村長さんは、加賀の殿様の所へ相談に行くことにしたのです。 「殿様、殿様、大変困ったことになりました。私どもの田んぼが枯れていきます。殿様に、うまい米を食べてもらえなくなったのでございます」「それは困ったのう…。そうじゃ、田んぼの熱を払う“ねつおくり”をしてはどうじゃ。お前たちの荒木(※1)の村は、毎年たくさんの米がとれる所じゃからなあ」「田を守ってくださる神様をかついで、田をまわるがよい。きっと神様が田んぼの病気をお追い払ってくださるであろう」 村長 「ははー。なるほど、ありがたいことでございます。神様に守っていただければ、荒木の田んぼも安心でございます。さっそく荒木に帰って田んぼの熱払いをいたします」 こうして村に帰った村長さんは、殿様にきいたとおりに、村人と一緒に、このようなおじいさん、おばあさんの形をした神輿(※2)をわらで作ったのです。 村長 「おーい村の衆。田んぼの熱払いじゃ」 村人 「太鼓を打つのじゃ」「ドンドン ドンドン ドーン」 大人は力一杯太鼓をたたいたのです。
−つづく−
※1荒木・・・現在の南砺市荒木。 ※2神輿・・・神霊の乗り物とされ、祭礼のときなどに担ぐ。
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「殿様、殿様、大変困ったことになりました」
「殿様、殿様、大変困ったことになりました」
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