第○回 ねつおくりまつり (3/3話)
村人 「太鼓を打つのじゃ」「ドンドン ドンドン ドーン」 大人は力一杯太鼓をたたいたのです。 村人 「子どもも、熱払いをしてくれ!」「短冊に、良い米ができるように書いて、笹竹につけるのじゃ」「一つ一つの田んぼの稲の上を払って歩こう」「ねつおくるばーい。ねつおくるばーい」 子ども 「ねつおくるばーい。ねつおくるばーい」 子どもたちも、力一杯大きい声を出して、夕方になるまで稲の上を払って歩いたのです。 そして夕方になりました。 村人 「おじいさん、おばあさん、どうか遠い所へ田んぼの悪魔を運んでいってくだされ」「どうか、村の田んぼを守ってくだされや」「10月には、たくさんのお米がとれるように守ってくだされ」 村の人たちは一生懸命お祈りしたあと、小矢部川へおじいさん、おばあさんの乗った舟で笹竹を流したのです。 村長 「村の衆、本当に熱払い、ご苦労じゃった。みんなが熱送りをしてくれたおかげで、今年もたくさんの米が取れるぞ」「さあ、祝いの酒を飲んでくれ。御馳走も食べてくれ」 村人 「荒木の田んぼも、きっと生きかえってくるだろう。神様が守ってくださるにちがいない」「熱送りのおかげじゃ」「ありがたい、ありがたい。毎年、熱送りをやろうじゃないか」「そうじゃ、そうじゃ。毎年やろう」 このようにして始まったのが、熱送りなのです。荒木の村々は、昔と同じような「ねつおくり」が今でも続いているのです。
―おしまい―
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「ねつおくるばーい。ねつおくるばーい」
「ねつおくるばーい。ねつおくるばーい」
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