第13回 おおいけのりゅうじょ (1/3話)
南砺市の旧福光町の西の方、石川県金沢市との境に医王山という山があり、そこにはトンビ岩という、トンビの形に似た岩があります。 そのトンビ岩から下をのぞくと、大池と呼ばれる池が見えます。 これから始まる話は、この池に昔から伝わっている竜の娘、お光の話です。 昔々、江戸時代の頃、金沢の堤町に小松屋藤右衛門という、お金持ちの呉服屋がありました。 この家には、お光という色が白く、とてもかわいい娘がおりました。 ある時、お光は急に重い病気になりました。 あちこちの医者に診てもらったり、いろいろな薬を飲ませたりしましたが、少しもよくなりません。 ある日、きものを買いに来た人が、医王山の大池の水を飲ませると、どんな重い病気も治るという話をしてくれました。 お光のお父さんは、この話を聞くと、さっそく店の若い者を山に登らせ、大池の水をくんで来るように頼みました。 若者は、「少しでも早く」と思いながら山を登ったり谷をくだったりして医王山へと急ぎました。 そして大池の水をくんで帰ると、もう日は暮れてあたりは暗くなっていました。 若者がくんできた大池の水をさっそくお光に飲ませました。また、この水で風呂をわかして入らせました。 お光 「ああ、気持ちのいいお湯だこと」「なんだか体中が軽くなったみたい…。病気が治っていくようだわ」 こうして、毎日、毎日、風呂に入っているうちにお光の病気は、だんだん、良くなっていったのです。お父さんも、お母さんもそれは、それは喜びました。 −つづく−
|
|
/DBIMG/COLUMN/densetsu_30_1.jpg
「ああ、気持ちのいいお湯だこと」
「ああ、気持ちのいいお湯だこと」
|