第13回 おおいけのりゅうじょ (2/3話)
父 「本当にありがたい。あんなに治らなかったお光の病気が大池の水のおかげですっかり良くなった。ありがたい、ありがたい」 母 「大池の水は、不思議な尊い水なのですね。さっそく大池までお礼に行かなくては」 お光 「お父さん、お母さん、私もぜひ大池へ連れていってください」 父 「せっかく治ったというのに、無理をしてはいけない」 母 「医王山は、とても険しい山なのですよ」 お光 「大丈夫です。私は大池の水のおかげでこんなに元気になったのですから。ぜひお礼に行かせてください」 お父さんも、お母さんも、お光の熱心なたのみにとうとう負けてしまい、お光を医王山へ行かせることにしました。 朝早く家を出た、お光と店の者は、お昼過ぎにやっと大池に着きました。そして池のそばに、たくさんの供え物をして手を合わせてお参りしました。そのうち、ふとお光が立ったかと思うと、まっすぐ池の方へ歩いていくではありませんか。 店の女 「お姫様、何をなさいます」 店の男 「早く、お戻りくださいませ。早くー!」 一緒にいた、店の者たちが、かけ寄って止めようとしましたが、お光はふりむきもせず、池の中に入っていき、とうとう池の底深く沈んでいってしまいました。 店の者たちは、どうしてよいのかわからず急いで金沢へ戻り、お光のお父さんとお母さんにありのままを話しました。 −つづく−
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「早く、お戻りくださいませ」
「早く、お戻りくださいませ」
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