第13回 おおいけのりゅうじょ (3/3話)
話を聞いたお父さんとお母さんは驚いて、気が狂ったようになりました。そして、急いで医王山の大池へかけつけました。 父 「お光、お父さんとお母さんが来たぞー」 母 「お光、どこにいるのー。帰ってきておくれー」 と泣き叫びました。 すると、急に水面がグル、グル、グル、グル、と渦巻いたかと思うと、お光の声が聞こえました。 お光 「お父さま、お母さま、お光です。不思議なわけがあって、お父さま、お母さまの娘として育てていただきましたが、私は本当は、竜の娘だったのです。ふるさとの竜宮(※1)が恋しくて病気になり、とうとう大池に戻ってきたのです。これで二度とお会いできませんが、お元気でいてください。長い間、私をかわいがってくださってありがとうございました。さようなら。さようならー」 そう言いながら、竜になったお光は、池の底に姿を消し、みえなくなってしまいました。みんなは、ただ驚くばかりでしたが、いつまで待ってもお光は戻らなかったので、悲しみながら、金沢へ帰っていきました。 それ以来、不思議なことに、大池の中に岩が浮きあがり『お光の岩』と言われるようになったということです。 ―おしまい―
※1 竜宮・・・深い海の底にある竜王が住んでいるといわれる宮殿のこと。
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「さようなら。さようならー」
「さようなら。さようならー」
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