第14回 やりのさきのみず (2/4話)
始めは勇ましく戦った成政軍でしたが、険しい山道を歩いてきたので、お腹がへり、槍を振りあげる力もありません。 前田 「成政たちは弱っている。今のうちに攻めてしまえ」 家来 「逃げろ」「早く逃げないと殺されるぞ」 戦いに破れた成政たちはやっとの思いで城ヶ山に帰って来ました。そして成政も家来たちも刀で切られた傷口に薬をつけてもらって手当をしてもらいました。 ところが大変なことが起こりました。成政が生きていることを知った前田の殿様は、ますます腹をたて、 前田 「うーん、成政が城ヶ山に生きていたとは、けしからん。おい家来達、今度こそ成政をひどく困らせる方法はないものか」 と相談しました。 皆は、頭をかかえて考えました。しばらくすると、 家来 「殿、いい考えがあります」 前田 「どんな考えだ、早く言ってみろ」 家来 「はい、成政達が飲んでいる明神川の水を止めてしまえば水がなくなって困るでしょう」 前田 「それは良い事を考えたのう」 そこで前田の殿様は、今まで成政が美味しく飲んでいた川の水を止めてしまいました。 家来 「ややっ、水が流れていないぞ」 川に水が流れていないのを見て、皆はびっくりしました。 家来 「ああ、水が飲みたいなあ」 奥方 「これでは夕飯のごちそうも作れないわ」 家来 「のどがからからだよ…」 と、成政も家来たちも皆、水が飲めず、とても困ってしまいました。 「このままでは水がなくて死んでしまう。どこかに水がないか捜して来ます」 と家来が言うと、他の者たちも、 家来 「おれも捜そう」 家来 「わたしも連れていってくれ」 と、城ヶ山に向かって水を捜しに駆け出して行きました。しかし、一面は石ゴロゴロの所ばかりで、水の出る所は見あたりません。 家来 「殿様、どこにも水の出る所はありません」 成政 「そうか、困ったのう」 −つづく−
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「殿様、どこにも水の出る所はありません」
「殿様、どこにも水の出る所はありません」
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