第14回 やりのさきのみず (4/4話)
奥方 「ひゃああ。な、なんとうれしい事でしょう。ここからもこんなに水がでてくるなんて。神様本当に有り難うございます。これで沢山の家来たちにおいしい御飯やおかずを作ってあげることができますわ」 家来 「やった、やった!ここからも、あそこからも水がどんどん出てくるぞ」「殿、奥方様、有り難うございました」 くたくたになっていた家来たちは、何度も何度もお礼を言いました。 家来の一人がさっそく吹き出している水を手ですくい、飲んでみました。 家来 「殿、これはとても冷たくておいしい水でございます」「さあ、殿も早速お飲み下さいませ」 家来は持っていた杓子に水をくみ、成政に差し出しました。 成政 「ゴクゴクゴク、うん、これは冷たくてうまい水じゃ。さあさあ、皆も早く飲むがよい」 家来 「有り難うございます。」(間)「これはおいしい。なんと良い味の水でしょう」 家来 「本当にうまいナァ、殿、奥方様、おいしい水を飲んだら元気が出ました」 成政 「水がでて、本当に良かったなぁ…」 奥方 「さぁさぁ、この水をくんでおくれ」 家来 「かしこまりました」 奥さんはさっそく腹をすかせたたくさん大勢の家来達のために、美味しい御飯を作りました。 家来 「御飯を一杯食べて、はらいっぱいだ」 家来 「これで元気が出たぞ」 成政 「村の人達にも、水の出る場所を教えてやってくれ」 家来 「殿、それはいい考えでございます。村人達も大喜びするでしょう」 家来 「それではさっそく行ってまいります」 成政 「わしらは、先に富山城へ帰るからな。よろしくたのむぞ」 成政達は富山城へと帰っていきました。 それいらい、村人たちは、成政の突いた水を「男水」、その隣の成政の奥さんが突いた水を「女水」といい、合わせてこの水を『槍の先の水』と呼ぶようになりました。 ―おわり―
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「さあさあ、皆も早く飲むがよい」
「さあさあ、皆も早く飲むがよい」
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