第16回 桑山のおこり (2/2話)
その頃の神さま方は、とてもとても大きな体だったそうです。鍬もまたひどくでっかいのを使っていました。 どちらの神さまもどんどん、どんどん積みあげていきました。 そして立山も白山も雲の上まで顔を出すくらい高く積み上げたのです。 「ああ、とても疲れた。足がよろよろする。もう働けない。でも、もう少し頑張らないと白山の神さまに負けてしまう。もうひと頑張りするとするか」 「向こうの山はいったいどれくらい積み上げたのかな…、どれどれ」 と立山の様子をみました。 「やや…、立山はあんなに高いぞ。こうしてはおれん。ここで休んでいては大変だ。よいしょ。よいしょ。もう少し、もう少し」 白山の神さまはあわててひとくわの土を積み上げようとしました。 白山の神さまは頑張って「よいこらしょ」とはこびあげましたが、途中でどうしても力が出ず、腰がよろついて、その土を落としてしまいました。 「ありゃ、ありゃりゃりゃりゃ…。これはしまった」 土はごろごろごろごろ山をころがって、「ドサーン」と川合田という所に落ちてしまいました。 「た、たいへんだ。何かすごい音がしたぞ」 「な、なんだ、なんだ」 「何だこりゃ、いつのまにか、山ができているぞ」 「おーい皆の衆、山ができたぞー」 近くの村人たちは、突然山ができたので大騒ぎです。 富山県に今もあるこの桑山は、昔々山の神さまの高さ比べをした時に、うっかり白山の神さまが落とした一鍬分の土でできた山なのです。 −おしまい−
|
|
/DBIMG/COLUMN/densetsu_38_1.jpg
「ありゃ、ありゃりゃりゃりゃ…」
「ありゃ、ありゃりゃりゃりゃ…」
|