第4回 かんざしわらし(後篇)
「大原」を渡った時、また暗くなって小さな子どもが出てきました。「また、出て来たな」と思っていると、「かんざし買ってくれ」と言いました。政右衛門はまた取り上げようとしましたが、今度はなかなか取れません。「そんな物買う銭、持っとらん」と言うと、「背中の餅と替えてくれ」とせがみました。 面倒臭くなった政右衛門は、力まかせに棒切れを持って子どもごと川へ投げ込みました。すると、棒切れを持った子どもが二人川から出てきて、「背中の餅と替えてくれ」とせがみます。政右衛門は、両手で子どもらをぐっと持ち上げ川の中へほうり込みました。 今度は棒切れを持った子どもが四人になり、「背中の餅と替えてくれ」と口々にせがみました。「この化け物どもめ」と、政右衛門は四人を束にして川へ投げ込みました。すると、棒切れを持った子どもが八人になって、「かんざしを買ってくれ」、「背中の餅と替えてくれ」と政右衛門の前後左右からすがり着いてきました。こうなると、さすがの政右衛門もかないません。 政右衛門は背中の餅を放り出して土手を這い上がり、後も見ずに逃げ出しました。暗闇の中に一つの光が見えました。政右衛門は、その光を頼りに走り続けました。 政右衛門が、経田村の入口にあるお地蔵さんの所にたどり着くと、誰がお参りしたのか蝋燭(ろうそく)が灯っていて、辺りが明るくなっていました。もう子どもらは消えて、見えませんでした。政右衛門は、やっと安心してお地蔵さんに手を合わせてお参りしました。
−おしまい−
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紙芝居『かんざしわらし』 作・ひまわりグループ
紙芝居『かんざしわらし』 作・ひまわりグループ
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