第19回 雄神のごおけつ力士(1/4話)
今からおよそ三百年前、雄神神社の近くに、「三のじょう」という若者がおりました。とても勇気のある元気な若者でした。「三のじょう」は相撲が大好きで、相撲のときの名前を「今川」と言い、近くの青島や金屋、種田村で、誰もこの「今川」に勝てる者はいませんでした。「今川」はいつも沢山の友だちと相撲の練習をしていました。 ある日、二上村(※1)にある射水神社で相撲大会が開かれることになりました。 「兄貴、あさって射水神社の秋祭りじゃそうな」。今川は「そうか、加賀、能登からも強いのが集まるな。なにせ、三国(※2)相撲じゃからな」と言いながら考え込んでいました。 「そうだ、みんな射水神社へ相撲見物に行くか」と、仲間と見物に行くことを約束しました。 この射水神社は越中でも一番の立派なお宮さんで、お祭りは越中と加賀と能登の三国の相撲取りが、力を出し合って相撲を取ることから、とても人気のある相撲大会でした。 祭りの日が来ました。今川は、朝早く仲間の人と庄村から歩いて射水神社へ出かけました。射水神社へ着くと、相撲はもう始まっていました。 しばらくすると、呼び出しが大きな声で「東―越中の国、−加賀の国」と呼び出していました。ところが取り組みが進むにしたがって、東方の越中が続けて三人も負けていました。 「越中の負け!」、おさまらないのは見物をしていた東方の越中の人たちです。見物人のほとんどが地元の東方、越中の応援をしていたからです。わいわい、ざぶとん座布団を投げる人まで出て、大変なことになりました。 −つづく−
※1二上村・・・現在の高岡市二上地区 ※2三国・・・加賀・越中・能登のこと
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「みんなとひとつ、見物に行くか」
「みんなとひとつ、見物に行くか」
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