第19回 雄神のごおけつ力士(3/4話)
多くの弟子の中に、大七郎という背丈の高い、たくましい若者がおりました。手や足が大きく、力の強い若者でした。大七郎は師匠の今川の今をもらって、「今ヶ嶽(いまがたけ)」という立派な名前をつけてもらいました。 ある日、「今ヶ嶽」は師匠の今川と一緒に、井波の瑞泉寺の相撲を見に行きました。 相撲が終わったのは、夜の十一時頃でした。2人は急いで帰ろうと、金屋の「ポンポン野」まで来たときです。遠くで狼の鳴き声がしました。 しばらく行くと二人の前に、らんらんと光る、目が集まってきました。そのころは、このあたりには、狼が沢山住んでいて、一人、二人と歩いていると襲われることが何度もありました。二人は黙って、周りに気を配りながら、帰りを急ぎました。 そのうち数匹の狼が、二人めがけて、飛び掛ってきました。 狼の三匹や五匹、恐れるものかと、飛び掛ってくる狼めがけて、足でけと蹴飛ばしたり、げんこつで叩いたりして、戦いました。狼は、打ちのめされて四・五メートルもぶっ飛んで、目や口から血を出し道端に次々と倒れました。 二人は汗もかかずに、死んだ狼をそのままにして、何知らぬ顔で家へ帰りました。 サー、次の朝です。通行人が十匹以上死んだ狼を見つけ、大騒ぎになりました。 このことは、早速井波や金屋など、近くの村々に広がりました。瑞泉寺の夜相撲の日に起きたことなので、すぐに今川と今ヶ嶽、二人のてがら手柄だと知れ渡りました。 −つづく−
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「とにかく帰りを急ごう!」
「とにかく帰りを急ごう!」
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