第3回 きつねの投げた赤いもち(前篇)
これは小矢部市宮島に伝わるお話です。 昔々、宮島の奥に「赤べい」というきつねが住んでいました。 宮島の峠にはトンネルがあって、そばにお地蔵様が立っておられました。 村の子どもたちは、草や花で作った首飾りをお地蔵様の首にかけました。村の人たちは、おもちやお菓子を供えていきました。赤べいは、いつもお地蔵さんの後にこっそり隠れていて、村の人が供えていくおもちやお菓子を食べていました。 お地蔵様は、きつねのいたずらをちゃんと見ていらっしゃるのですが、少しも叱りませんでした。 ある山祭りの夜のことでした。 どろぼうが村から牛を盗み出して、峠の下まで逃げてきました。「やれやれ、ここまで来ればもう大丈夫。だれにも見つからずにうまくいったわい!」と独り言をいいながら、お地蔵様の前に腰を下ろしました。「さーて、いっぷく(※1 )しよう」と、タバコをふかしはじめました。ちょうどその時、赤べいはお地蔵様の陰で、お供えのおもちを食べようとしていたところでした。 ふと前を見ると、どろぼうがうまそうにタバコをふかしていました。
−つづく−
※1 いっぷく・・・・一休みすること(休憩)
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紙芝居『きつねの投げた赤いもち』 作・ひまわりグループ
紙芝居『きつねの投げた赤いもち』 作・ひまわりグループ
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