第37回 池田のどべ(つぼ打ち) (1/2話)
昔々、池田に身長が2メートル以上ある、どべという名の大男がおりました。そのころ、池田のほとんどは小作(※1)の百姓でした。どべも池尻の地主さんの所へ奉公にいっておりました。 ある冬の寒い日の朝、夏に借りた休み分の仕事を返しにいきました。昔の奉公人は朝食前に仕事をするのが習慣になっていたのです。 「おやっさん、おはようございます。夏に借りた休み分の仕事をお返しに参りました」 「おー、それはご苦労さんなことで。そんなら早速じゃが、前の田んぼの肥え土のつぼ打ちを返してもらうか」 つぼ打ちとは真夏に行う仕事です。地主さんは、「どべの奴、どんな顔をするか。ひとつからかってやろう」と、面白半分に仕事を言いつけました。 どべは早速、頭にねじり鉢巻(はちまき)をつけると、吹雪の中を出かけました。そしてそこに積もっていた雪をかきさらい、大鍬(くわ)を振り上げて、ペッタン、ペッタンとつぼ返しを始めました。 ―つづく―
※1小作・・・地主さんの畑を耕して生活をしている農家の人のこと。
このお話は、南砺市立井口中学校の「課題学習いのくち民話チーム」が制作した紙芝居より、一部加筆・修正の上、掲載しました。
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「どべの奴どんな顔をするか。ひとつからかってやろう」
「どべの奴どんな顔をするか。ひとつからかってやろう」
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