第41回 やりのさきのみず(1/2)
南砺市広瀬舘の城ヶ山に槍の先という所があり、そこへ行くと「ドーン、ドーン」というものすごい音を出して水が流れ落ちています。その流れに手を入れると、氷を持っている様に冷たく、夏でもひんやりしているので、大変おいしい飲み水として村の人からとても大事にされています。 今から四百年ほど昔、越中の国を佐々成政が、また加賀の国を前田利家が護っていました。前田の殿様は自分の国をもっと広くしたいと考えていました。 「越中では甘くてうまい干柿や、病気によく効く薬を沢山作っておる。何としても成政の国をわしのものにしてやるぞ」 前田の殿様が家来に話しているのを聞いた富山の薬売りは、急いで成政に報せに行きました。そしてさっそく家来は戦いの仕度を始めました。 「皆の者、前田の殿様をやっつけるぞー」 始めは勇ましく戦った成政軍でしたが、険しい山道を歩いてきたので、お腹が減り、槍を振りあげる力もありません。戦いに破れた成政たちはやっとの思いで城ヶ山に帰って来ました。そして成政も家来たちも刀で切られた傷口に薬をつけて手当をしてもらいました。 ところが成政が生きていることを知った前田の殿様は、ますます腹をたて、 「うーん、成政が城ヶ山に生きていたとは、けしからん。おい家来たち、今度こそ成政をひどく困らせる方法はないものか」 と相談しました。しばらくすると家来が言いました。 「成政たちが飲んでいる明神川の水を止めてしまえば水がなくなって困るでしょう」 −つづく−
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「何としても成政の国をわしのものにしてやるぞ」
「何としても成政の国をわしのものにしてやるぞ」
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