第42回 弁財天社のほこら 其の二(1/2話)
今からおよそ四百年前、大地震で庄川が氾濫し、上流のたくさんの人々が犠牲になりました。しかし、濁流にのみこまれずに残った島が、下流の人々を洪水から守ってくれました。 越中の殿様は、この島に水の神様である弁財天を祀るよう命じ、島の南に祠が建てられました。
この弁財天社の祠は飛騨匠(ひだのたくみ)によって造られました。飛騨匠はとても立派な建築の腕をもち、あちこちから頼まれて立派なお宮やお寺を造り続けました。後になって、この匠の娘は、父親が造った建物の出来栄えを見て、自分もしっかり勉強しようと思い、国々を巡り歩きました。 ある日のこと、娘は弁財天社へやってきました。立派な建物を見て、娘はとても驚きました。ふと見ると、祠に木目を逆だてた逆木(さかぎ)が使ってあるのに気づき、考え込みました。 「これはどうしたことだ。名工といわれる父が作ったものにしては何と不始末なことだろう」 そしてその夜のうちに、近くの大工に頼んで、祠の逆木を取り外して削り直し、元の所に納めました。親元に帰った娘は、早速弁財天社の逆木のことを父に話しました。 −つづく−
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ほこらのさか木を取りはずし、けずり直して…
ほこらのさか木を取りはずし、けずり直して…
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