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となみ野 むかしがたり
 

私はとなみ野に伝わる民話や伝説を語り継いでいます。 砺波市・南砺市・小矢部市には様々なお話がありますが、 そんなお話の中から、とっておきのものをお話しします。 またみなさんの知っているお話がありましたら、ぜひお寄せくださいね。 それでは、はじまり、はじまり…。

掲載日:2020年7月1日
第44回 八乙女山の風穴とにわとり塚(1/2話)

 雪の消えぎわの春先やとか、稲のとり入れる秋口になると、決まったように井波付近にだけ毎年何度か強い南風が吹くがやと。
 棟の鬼瓦が隣の家の座敷に飛び込んで座っとったとか、乗っとった自転車が風にとられて、ひらりひらりと田んぼの中を舞っていったとか、電信柱にしがみついたまま、どうにもこうにも動かれんかったとか、家の中の畳を全部持ち上げて、風が入ってくるがを塞いどったとか…。本当の話をしても、よその町の人は嘘だろうと言って、本当にしてくれん。
 そうやさかい、こんな風を『井波の私風(しふう)』というがや。なんで井波だけに吹くがかというと、八乙女山のてっぺんに風穴があって、そこから吹き出すからやと言われている。

 むかし、むかし、そのまたずっとのむかし、井波だけに吹く風のとこに住んどる者がかわいそうだといって、えらいお坊さんが八乙女山に登って、風穴の前にありがたいお経さまをうずめて、大きな塚を立てたがじゃ。そして、その上に風の神様を祀るお堂を建てて、「どうか風の神さま、大きな風を吹かせんと、いつもおとなしい風だけ吹かせてください。たのみます」と拝まれたと。それからは、南風が吹かんようになったがやと。そして元日の朝になると、塚の中から金のにわとりが出てきて、東の方の井波に向かって鳴くがじゃ。朝早く起きていて、鳴き声を聞いた者は、一年中よいことばっかり続いたがやと。
−つづく−


八乙女山のてっぺんに風穴があって、そこから吹き出すからやと言われている。


今日はどんなお話をしようかね…。
となみ野おばあちゃん

となみ野おばあちゃん、 となみ野、
私たちの故郷・となみ野には古くから多くの民話や伝説があり、先祖代々語り継がれてきました。
TSTとなみでは、そうした地域の良さを伝えるお話を紹介します。
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