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となみ野 むかしがたり
 

私はとなみ野に伝わる民話や伝説を語り継いでいます。 砺波市・南砺市・小矢部市には様々なお話がありますが、 そんなお話の中から、とっておきのものをお話しします。 またみなさんの知っているお話がありましたら、ぜひお寄せくださいね。 それでは、はじまり、はじまり…。

掲載日:2020年7月16日
第44回 八乙女山の風穴とにわとり塚(2/2話)

 こんなことを伝え聞いた悪い心を持った侍は、「そんなこと嘘だろう、嘘に決まっている。本当かどうか調べてやる」と言って、山に登って塚の前に張ってあったしめ縄を、自分の持っていた刀を抜いて、真っ二つに斬ったのじゃ。
 そしたら急に風が出てきて、だんだん強くなって、とうとう塚が二つに吹き割れてしもたがやと。今も、塚は二つに割れたままになっとる。
 それ以来、悪い心を持った者が登ると、南風が吹いてかなわん。
 また今も、元日の明け方になると、金のにわとりが出てきて、東の方の井波に向かって、美しい声で鳴くんじゃと。
 正月元日に早く起きて、神様や仏様にお参りし、心も体もすっきりさせて八乙女山の方に耳をかざすと、金のにわとりのすみきった、美しい声がかすかに聞こえるがやと。それを聞いた人は、その年中幸せになるがやと。
 金のにわとりの鳴き声は降る雪と雪の隙間からとか、木の枝の先と先がぶつかる中からとか、雪の奥の中から聞こえるとも言われるし、お寺やお宮の屋根をこえて聞こえるとか、聞こうとさえすれば、誰でもどこでも聞けると、昔から言われておる。(金のにわとりは「コケコッコー」と鳴かんのが当たり前やぞいけ。時と所によって声が違おうが。気持ちがすっきりする美しい声。それが金のにわとりの声だという)
―おしまい―

このお話は、井波町母親クラブ連合会発行の『井波の昔ばなし』より、一部加筆・修正の上、掲載しました。


「そんなこと嘘に決まっている。本当かどうか調べてやる」


今日はどんなお話をしようかね…。
となみ野おばあちゃん

となみ野おばあちゃん、 となみ野、
私たちの故郷・となみ野には古くから多くの民話や伝説があり、先祖代々語り継がれてきました。
TSTとなみでは、そうした地域の良さを伝えるお話を紹介します。
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