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となみ野 むかしがたり
 

私はとなみ野に伝わる民話や伝説を語り継いでいます。 砺波市・南砺市・小矢部市には様々なお話がありますが、 そんなお話の中から、とっておきのものをお話しします。 またみなさんの知っているお話がありましたら、ぜひお寄せくださいね。 それでは、はじまり、はじまり…。

掲載日:2021年4月16日
第53回 お上様塚と観音様(2/2話)

 こうして、お上様塚の松を切り倒すことになりました。ところが、それからしばらく後、お上様塚の近くに住む老婆が、突然重い病にかかり、死んでしまいました。
「あの婆さん、松の木っぱをこっそり持ち帰って、かまどのたきつけに燃やいたがいと。ばちが当たったがいと」
 この噂はたちまち村中に広がりました。西野々の村人たちは、お上様塚の近くに集まり、話し合いました。
「お上様の祟り、なよんするにゃどうしたらよかろうかのう」
「この在所にゃ、石屋さんが多いもん、お上様塚に観音様を建てたらどうじゃな」
「そんなら、しょうずん田の栄次郎さんに頼んでみるか」
 村人たちは、供養のために、腕がいいと評判の栄次郎に観音様を彫ってもらうことにしました。やがて、大きな金屋石から掘り出した観音様が完成し、お上様塚の隣の御堂に納められました。村人は、いっそうお上様を慕い、毎日お参りするようになりました。
 ある日、近所の信心深いおじいちゃんが病気になり、高い熱が何日も続きました。家の人たちはおじいちゃんに元気になってもらおうと、毎日朝夕、観音様にお参りしました。そして七日目の朝早くお参りに行くと、観音様は汗でびっしょりになっていました。家へ帰ると、夕べまで高い熱が続いていたおじいちゃんの熱はすっかり下がり、元気を取り戻していました。
 それからは、観音様にお参りする人がさらに増え、お花を供える人が絶えないようになりました。
 栄次郎は六十五才で亡くなるまで、石の観音様を千体も彫ったそうです。
―おしまい―

このお話は、砺波市庄川町のボランティアグループが制作した紙芝居より、一部加筆・修正のうえ、掲載しました。


観音様は汗でびっしょりになっていました


今日はどんなお話をしようかね…。
となみ野おばあちゃん

となみ野おばあちゃん、 となみ野、
私たちの故郷・となみ野には古くから多くの民話や伝説があり、先祖代々語り継がれてきました。
TSTとなみでは、そうした地域の良さを伝えるお話を紹介します。
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