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となみ野 むかしがたり
 

私はとなみ野に伝わる民話や伝説を語り継いでいます。 砺波市・南砺市・小矢部市には様々なお話がありますが、 そんなお話の中から、とっておきのものをお話しします。 またみなさんの知っているお話がありましたら、ぜひお寄せくださいね。 それでは、はじまり、はじまり…。

掲載日:2021年6月1日
第55回 とのさま道と石仏さま(1/2話)

 江戸の終わり頃のことです。
 福光の坂本から加賀の二股へつながる道は、朴坂峠越えの道と言われ、大雨が降る度にぐちゃぐちゃになる大変危険な道でした。
「雨が降っても峠道が通れるようになる良い方法はないじゃろうか」
 困った村人たちは、十村役(※)の石崎市右衛門の所に相談に行きました。
 市右衛門は、泥だらけの道に大きな石を敷いて、さらに籠や馬がすれ違えるように道幅を広くすることを思いつきました。
 早速、市右衛門は村人たちが困っていることをお役人に申し出てお許しをもらいました。そして、桑山や小又から切りだした石を道に敷き、崖を削って道幅を広げる工事が始まりました。
 これでみんなが安心して通れる道ができるとほっとした矢先、悲しいことが市右衛門に起こりました。可愛い一人娘が、重い病気にかかってしまったのです。
 あらゆる手を尽くしましたが、娘の病気は一向に良くならず、病気が治らない苦しみから娘は小矢部川に身を投げ、還らぬ人となってしまいました。
 あまりの悲しみに、市右衛門と奥さんは毎日泣き暮れていました。しかし、日が経つにつれ、死んだ娘をあの世で幸せにしてやりたいと思うようになりました。
 市右衛門は、安居寺のお坊さんに相談に行きました。
 すると、お坊さんはこのように教えてくださいました。
「弘法大師が建てられた三十三ヶ所のお寺の御本尊の観音仏様を石に刻んで、毎日、多くの人々が行き来する道端に置きなさい。通る人の心に、安らぎを与えることが娘さんの供養になるじゃろう。そしてその道は、金沢往来の朴坂峠越えがよかろう」
−つづく−


「良い方法はないじゃろうか」


今日はどんなお話をしようかね…。
となみ野おばあちゃん

となみ野おばあちゃん、 となみ野、
私たちの故郷・となみ野には古くから多くの民話や伝説があり、先祖代々語り継がれてきました。
TSTとなみでは、そうした地域の良さを伝えるお話を紹介します。
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