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となみ野 むかしがたり
 

私はとなみ野に伝わる民話や伝説を語り継いでいます。 砺波市・南砺市・小矢部市には様々なお話がありますが、 そんなお話の中から、とっておきのものをお話しします。 またみなさんの知っているお話がありましたら、ぜひお寄せくださいね。 それでは、はじまり、はじまり…。

掲載日:2021年7月1日
第56回 とのさまと清水(1/2話)

 井口の池田村にある熊野神社に伝わるお話です。
 今からおよそ百六十年前の江戸時代の終わりのことです。
 夏の盛りのある日、焼けつくような道を、見知らぬ二人連れの武士が井口にやってきました。
「とても景色のよいところに来たが、ここはなんと言うところか」
「越中の国、井口でございます。向こうに見える山並みは、赤祖父(あかそぶ)山でございます。山頂のブナ林に続く雑木林には、春は椿の花が咲き乱れ、それは見事だと聞いておりまする。殿様、ここらで一休みしましょう」
 二人は涼しい木陰を求めて、近くの神社の中に入っていきました。
「小さな神社ですが、きれいにしてありますなぁ」
「里人が大切にしておるのであろう。それにしても喉が渇いたのう」
「近くに飲み水がないか、訪ねて参りましょう。ちょうど向こうに、こちらを見ておる者たちがおります」
 石垣に隠れてのぞき見をしている二人の百姓がおりました。
「與助(よすけ)さん、この辺では見ない立派なお侍やちゃ」
「ご家来のお侍は、ずいぶん怖そうなお人じゃ。三九郎さん、早く逃げよまいけ」
「待て待て。主の方は、なんだか元気がない様子じゃ。どうしたがやろ」
「そんなこと言うとるから、こっちの方に気づいたみたいや。三九郎さん、はよ逃げよまいけ」
 とうとう二人は見つかってしまいました。
−つづく−


「三九郎さん、はよ逃げよまいけ」


今日はどんなお話をしようかね…。
となみ野おばあちゃん

となみ野おばあちゃん、 となみ野、
私たちの故郷・となみ野には古くから多くの民話や伝説があり、先祖代々語り継がれてきました。
TSTとなみでは、そうした地域の良さを伝えるお話を紹介します。
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