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となみ野 むかしがたり
 

私はとなみ野に伝わる民話や伝説を語り継いでいます。 砺波市・南砺市・小矢部市には様々なお話がありますが、 そんなお話の中から、とっておきのものをお話しします。 またみなさんの知っているお話がありましたら、ぜひお寄せくださいね。 それでは、はじまり、はじまり…。

掲載日:2021年9月15日
第58回 川ごえの蓮如様(2/2話)

 お坊さんと弟子が帰る途中、もう少しで福光に着くという時に、大雨が降り、小矢部川の水が溢れ、どの橋も流されてしまいました。
「和尚様、この大水では川を渡ることができません」
「困ったな。何かいい考えはないものか」
 すると、困った二人の前に、どこからともなく一人の年老いたお坊さんが現われ、言いました。
「困った様子だがどうしたのですか」
「実は、川を渡りたいのですが、大水で橋が壊れ、渡れずに困っているのです」
「それは、さぞお困りでしょう。それなら、私が川の浅瀬を渡るから、その後についておいでなさい」
 その年老いたお坊さんの後を渡ると、不思議なことに沢山あった水がだんだん少なくなり、二人は川を無事に渡ることができました。二人はお礼を言い、深々と頭を下げました。しかし、もうお坊さんの姿は消えて見えませんでした。
「あの方は一体どなただったのだろう。どこかでお見受けしたような気がするなあ」
 二人は不思議に思いながらお寺に帰りました。お寺に着いた二人は、手に持っていた蓮如上人の絵を紐解いてびっくりしました。
「蓮如上人の掛軸の着物の裾が濡れておる。もしかしたら、先ほど川案内をしてくださったお方は、蓮如上人だったにちがいない。なんと、ありがたいことじゃ。なむあみだぶつ。なむあみだぶつ」
 この話を聞いた村人たちはたいそう驚き、
「不思議なこともあるものじゃ。蓮如上人は、立派なお方じゃ」
と上人の絵を拝み、今までよりもますます幸せに暮らしたということです。
―おしまい―

このお話は、福光地域公立保育園の保育士が制作した紙芝居より、一部加筆・修正の上、掲載しました。


「後についておいでなさい」


今日はどんなお話をしようかね…。
となみ野おばあちゃん

となみ野おばあちゃん、 となみ野、
私たちの故郷・となみ野には古くから多くの民話や伝説があり、先祖代々語り継がれてきました。
TSTとなみでは、そうした地域の良さを伝えるお話を紹介します。
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