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となみ野 むかしがたり
 

私はとなみ野に伝わる民話や伝説を語り継いでいます。 砺波市・南砺市・小矢部市には様々なお話がありますが、 そんなお話の中から、とっておきのものをお話しします。 またみなさんの知っているお話がありましたら、ぜひお寄せくださいね。 それでは、はじまり、はじまり…。

掲載日:2021年12月1日
第61回 やち川のかじか(1/2話)

 やち川は桑崎山(今の牛嶽)の東麓から流れ出し、栴檀山地区から三谷地内を流れ、庄川に流れ込んでいる川です。
 今からおよそ七百年前のことです。三月二十八日は三谷村の春まつりの日で、魚はこの日だけしか食べることはできず、若者は朝からたくさんの魚を捕えようと張り切っていました。
 この三谷村には、とても働き者の長べえ親子三人が暮らしていました。長べえの息子・長すけは、
「まっつりのごっつお、でっかいととってくるちゃ」と言って、裏のやち川へ飛んで行きました。一時間後、大きい木桶に底が見えないほど、たくさんのかじかを捕えてきました。
「長すけ、でっかいと捕らまいてきたな。でかしたぞ」
と長べえは包丁で順々に腸を切り取ろうとしました。
 ちょうどその時、一人の旅人が通り掛かり、「今日は何の日か知ってござるか」と言いました。
「おらちゃの村の春まっつりじゃ」
 旅人は、困った顔つきで言いました。
「今日は、わがごかいさん聖人、親鸞様がお亡くなりになったご命日じゃ。知らぬか」
 長べえはとまどいましたが、少し腹を切ったままのかじかを、「なんまんだぶつ、なんまんだぶつ」と言いながら、川の中へ放してやりました。
−つづく−


「でっかいと捕まいてきたな。でかしたぞ」


今日はどんなお話をしようかね…。
となみ野おばあちゃん

となみ野おばあちゃん、 となみ野、
私たちの故郷・となみ野には古くから多くの民話や伝説があり、先祖代々語り継がれてきました。
TSTとなみでは、そうした地域の良さを伝えるお話を紹介します。
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