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となみ野 むかしがたり
 

私はとなみ野に伝わる民話や伝説を語り継いでいます。 砺波市・南砺市・小矢部市には様々なお話がありますが、 そんなお話の中から、とっておきのものをお話しします。 またみなさんの知っているお話がありましたら、ぜひお寄せくださいね。 それでは、はじまり、はじまり…。

掲載日:2013年6月16日
第62回 南蟹谷のおこり(2/2話)

 化け物は体をくねらせ、水はザブザブ音を立てています。お坊さんはなかなか分かりませんでしたが、パッと答えがひらめきました。
「それは蟹だ。おまえは蟹の化け物だろう」
「よくぞわかったな」
 池の水はますます激しく波打ちました。
「これまで多くの人を隠したのはなぜだ。その罪は許されないぞ。仏様のさばきを受けろ」
とお坊さんが言うと、蟹は、
「私は埴生八幡宮の神様である。村の人々が神様にお参りしないのが悲しいのだ。私を拝んでくれるなら人を隠したりしない」
「よしわかった。そのことを村の人たちに知らせよう」
 南無阿弥陀仏と一生懸命お経を唱えると風が吹き起こり、池は渦巻きになり、蟹は一声「ウォー」と叫んだかと思うと、池の中へ消えて行きました。お坊さんは村に戻り、村人にこのことを話しました。
 その次の日の朝、大きな大きな蟹が川の橋の上に覆いかぶさって倒れていました。村人はお宮さんを作り、蟹をお祀りしました。
 その後、この地方を蟹田(谷)と呼び、それがいくつかに分れて、東蟹谷、北蟹谷、南蟹谷なのです。
―おしまい―

 このお話は、福光地域公立保育園の保育士が制作した紙芝居より、一部加筆・修正の上、掲載しました。


「私を拝んでくれたなら、人を隠したりしない」


今日はどんなお話をしようかね…。
となみ野おばあちゃん

となみ野おばあちゃん、 となみ野、
私たちの故郷・となみ野には古くから多くの民話や伝説があり、先祖代々語り継がれてきました。
TSTとなみでは、そうした地域の良さを伝えるお話を紹介します。
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