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となみ野 むかしがたり
 

私はとなみ野に伝わる民話や伝説を語り継いでいます。 砺波市・南砺市・小矢部市には様々なお話がありますが、 そんなお話の中から、とっておきのものをお話しします。 またみなさんの知っているお話がありましたら、ぜひお寄せくださいね。 それでは、はじまり、はじまり…。

掲載日:2013年7月1日
第63回 まぼろしの木波町(1/2話)

 昔、庄に木波という町がありました。ここに、とても物知りなばあさんが住んでいました。生まれる前に起きた雄神川の大洪水のことも、まるで見てきたかのように話していました。
「今まで見たこともない大水じゃった。西野村では人も家もおし流されてのう。そん時の大水で雄神川が、西野村の外れまで来てしもてのう。もうあんなことこりごりじゃ」
 このばあさんの話を、人々は心の中で「でたらめ並べおって」とあさげ笑っていました。
 ある冬の夜、星の動きを見ていたばあさんは、突然身体を震わせながら言いました。
「大変じゃ、大地震じゃ。山が崩れて大水になるぞ。町が流されるぞ!」
 ばあさんは町中をかけまわりました。しかし誰もばあさんのいうことを聞こうとしません。ばあさんは町の長の家へ飛び込み、言いました。
「大変じゃ、若い衆を川の淵へ集めて土を盛るのじゃ。水がこっちに来んようにするのじゃ」
 しかし町の長は全く慌てる様子もありませんでした。
 その夜、みんなぐっすり眠っていると突然大揺れが始まり、ばあさんの予言した大地震が起きたのです。
 大揺れは十二日間も続き、あちこちの山が崩れ、谷は埋まり、庄川の流れを堰き止めてしまいました。上流の白川村あたりでは、三百軒の家が埋まり、生き残った者は一人もいなかったそうです。
−つづく−


「若い衆を川の渕へ集めて土を盛るのじゃ」


今日はどんなお話をしようかね…。
となみ野おばあちゃん

となみ野おばあちゃん、 となみ野、
私たちの故郷・となみ野には古くから多くの民話や伝説があり、先祖代々語り継がれてきました。
TSTとなみでは、そうした地域の良さを伝えるお話を紹介します。
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