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となみ野 むかしがたり
 

私はとなみ野に伝わる民話や伝説を語り継いでいます。 砺波市・南砺市・小矢部市には様々なお話がありますが、 そんなお話の中から、とっておきのものをお話しします。 またみなさんの知っているお話がありましたら、ぜひお寄せくださいね。 それでは、はじまり、はじまり…。

掲載日:2014年6月1日
第74回 弘法さまにもろた水(1/2話)

 昔、庄川の町から鍬崎山を越えて利賀村へ行く峠に、二ッ屋という小さな村がありました。今では住む人もいないこの村に伝わるお話です。
 暑い夏のある日、おばあさんが昼飯に食べる稗の団子を煮ていました。そこへとても粗末な格好をしたお坊様が来られ、「水を一杯よばれたいんじゃが」と言いました。おばあさんは、縁の欠けた茶椀に水をたくさん汲んで、お坊様にあげました。
「あーっ、うんまい水じゃ。生き返ったわい」
 おばあさんはため息をつきながら、「日照りになれば涸れて出んようになることもあるちゃ」とお坊様に言いました。
「そうかい。あとで裏の谷を見ておこう」
 お坊様は外へ行こうとして土間を見渡すと、鍋の中で何やらぐつぐつ煮えているのが見えました。
「ばあさんや、これ、何じゃろか」
「味ない稗団子やけど、ひとつあがらっしゃらんか」
 お坊様は喜んで食べられて、お礼を言って帰ろうとしたところ、そこに石臼が置いてあることに気がつきました。
「ところで、この石臼の目はよう切れるか」
「なーんやわ、臼の目、だんだん切れんようになってしもて」
 お坊様は、おばあさんに鑿(のみ)と槌(つち)を借りると、石臼の目を上手に切ってくださいました。それから、背戸の谷の水を引いてある所へ行って、杖の先でゴミをさらえて筋をつけていかれました。
−つづく−


「あー、うんまい水じゃ、生き返ったわい」


今日はどんなお話をしようかね…。
となみ野おばあちゃん

となみ野おばあちゃん、 となみ野、
私たちの故郷・となみ野には古くから多くの民話や伝説があり、先祖代々語り継がれてきました。
TSTとなみでは、そうした地域の良さを伝えるお話を紹介します。
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