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となみ野 むかしがたり
 

私はとなみ野に伝わる民話や伝説を語り継いでいます。 砺波市・南砺市・小矢部市には様々なお話がありますが、 そんなお話の中から、とっておきのものをお話しします。 またみなさんの知っているお話がありましたら、ぜひお寄せくださいね。 それでは、はじまり、はじまり…。

掲載日:2015年1月16日
第81回 サイカチ原のクモ(2/2話)

 秋の陽もだんだん暮れ、まさに陽が西山に沈もうとしたところ、どこから来たのか金色の縞模様に輝く一匹のクモが現れました。そして人々の足元を通ったかと思うと、その茨の薮をくぐらずに、薮の下の石の間をくぐり抜けて、するすると中へ入ってしまいました。
 それを見た人々はクモのまねをして、茨の下の石を一つひとつどかして中へ入っていきました。そこは暗くて細くて、とても小さな穴でしたが、一人ひとり順番に中へ入ることができました。そして最後に入った人は、石を元通りにして見つからないようにしました。
 やがて、大勢の追手の軍勢がサイカチ原を取り囲みました。そして、そこらじゅうを探し回りましたが、どうしても門徒衆たちを見つけることができませんでした。木の根元まで探しても、川原一面トゲだらけのサイカチでどうにもなりません。
 そのうちに小さな穴のようなものを見つけ、のぞいて見ましたが穴の中はまっ暗で、その上にクモの巣がびっしり張られていました。
「ひゃあ、これはたまらん。汚い」
「クモの巣が、こんなに張っているのだから、八尾の門徒衆がいるわけはないわな」
 クモの巣だらけになった家来は、頷き合いながら引き上げて行ってしまいました。
 一匹のクモのおかげで、危うく九死に一生を得たという話でした。
今も庄川のほとりには、大きく枝を張ったサイカチの大木が並んでいます。
―おしまい―

このお話は、庄川地域のボランティアグループが制作した紙芝居より、一部加筆・修正の上、掲載しました。


「ひゃあー、これはたまらん。きたない」


今日はどんなお話をしようかね…。
となみ野おばあちゃん

となみ野おばあちゃん、 となみ野、
私たちの故郷・となみ野には古くから多くの民話や伝説があり、先祖代々語り継がれてきました。
TSTとなみでは、そうした地域の良さを伝えるお話を紹介します。
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