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となみ野 むかしがたり
 

私はとなみ野に伝わる民話や伝説を語り継いでいます。 砺波市・南砺市・小矢部市には様々なお話がありますが、 そんなお話の中から、とっておきのものをお話しします。 またみなさんの知っているお話がありましたら、ぜひお寄せくださいね。 それでは、はじまり、はじまり…。

掲載日:2015年4月16日
第84回 鱒にもろた千石田(2/2話)

 一年ほど経ったある日のこと。徳べえがふと夜中に目を覚ますと、土間から音が聞こえてきました。そっと起きて土間を覗くと、嫁は一生懸命縄をなっていて、縄はうず高く積まれていました。徳べえは声をかけることができず寝床へ戻りましたが、嫁の夜中の仕事は、それから何日も続きました。
 ある晩、徳べえは嫁の夢を見ました。
「ずっとそばにいたいと思とったけど、もうおれんようになりました。私はいつか助けてもろた鱒ですちゃ。お礼のしるしに、川べりに縄を張っておいたので、そこに田んぼを作ってくだはれ。きっとよいがになりますよ」
 徳べえが目を覚ますと、嫁の姿はなく、土間に山のようになっていた縄もありません。慌てた徳べえは、夢の中で嫁が言った川べりまで走って行きました。すると、荒れ地一帯に縄が張り巡らしてありました。
「そやけど、こんな石だらけの荒れ地が田んぼになるわけないないか」
 徳べえがつぶやいた途端、突然激しい大嵐になり、荒れ狂った庄川の流れは堤を破り、どっと流れ出しました。
 ようやく嵐が静まった三日目に縄を張った荒れ地へ行ってみると、そこは大水で石ころがなくなり、泥が盛り上がった土地になっていました。
「ありがたや。お前のおかげやで」
 徳べえは、嫁の言ったとおり田んぼを作りました。その田んぼは豊作続きとなり、やがて徳べえは村一番の長者様になりました。そしてこのあたりは千石田と言われるようになりました。
―おしまい―

このお話は、庄川地域のボランティアグループが制作した紙芝居より、一部加筆・修正の上、掲載しました。


朝は誰よりも早く起き、仕事に精を出しました。


今日はどんなお話をしようかね…。
となみ野おばあちゃん

となみ野おばあちゃん、 となみ野、
私たちの故郷・となみ野には古くから多くの民話や伝説があり、先祖代々語り継がれてきました。
TSTとなみでは、そうした地域の良さを伝えるお話を紹介します。
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