トップ > よみもの > となみ野 むかしがたり

となみ野 むかしがたり
 

私はとなみ野に伝わる民話や伝説を語り継いでいます。 砺波市・南砺市・小矢部市には様々なお話がありますが、 そんなお話の中から、とっておきのものをお話しします。 またみなさんの知っているお話がありましたら、ぜひお寄せくださいね。 それでは、はじまり、はじまり…。

掲載日:2016年1月1日
第93回 天池の不思議(1/2話)

 小矢部市藤森地区の南方の深い山続き、杉谷内と小森谷に面している尾根の上に、周りが百メートルくらいの「天池」という池があります。この天池にはいくつかの伝説があります。
 むかし、えらいお坊様がこの地に来られました。
 そして、「おー、なんて空気の澄んだ所だ。ここにお寺を建てて、心静かに仏様をお守りしましょう」と話されました。
「この地にお寺を建ててくださるとは、有難いことじゃ」
「わしらも仏様といっしょに暮らせるなんて、もったいない、もったいない」
 村人たちは大変喜びました。
「地面をならさんなんな(※1)。寺を建てる材木も集めんなん」
 村人たちは一生懸命、汗を流して働きました。やがて、材木も大方集まりました。
「これだけ集めたら、いつでも建てられるなぁー」
 村人たちは、思い思いのお寺の姿を心に描きました。ところが女の人が一人紛れていたことから、山の神様の怒りに触れてしまいました。当時女の人は、山に入ることを固く禁じられていたからです。
 あろうことか、集めてあった材木が一晩のうちにすべて地中深く埋もれてしまい、いつのまにか満々と水を湛えた池になってしまったのです。
「これは、どうしたことじゃ」
「せっかく集めた材木が水の泡じゃ。お寺が建つのを楽しみにしていたのになぁー」
 お坊様はもちろんのこと、村人たちもそれはそれは嘆き悲しみました。
 それ以来、山の神様はこの池に女の人が近寄ると雷鳴を轟かせ、大雨風を巻き起こし、果ては洪水をもたらし田畑に被害を与えるとのことで、村人たちは恐れおののき、この池に近寄らなくなりました。
−つづく−


材木がすべて地中深く埋もれてしまい・・・


今日はどんなお話をしようかね…。
となみ野おばあちゃん

となみ野おばあちゃん、 となみ野、
私たちの故郷・となみ野には古くから多くの民話や伝説があり、先祖代々語り継がれてきました。
TSTとなみでは、そうした地域の良さを伝えるお話を紹介します。
e-mail info@e-tonamino.com
URL

Copyright (c) Tonami Satellite Television Network All rights reserved.